ファイナンシャルプランナーのこはるです。

働けなくなったらどうなっちゃうんだろう。保険に入っておかなければ何だかヤバいのかも。

働けない状態になったことがない方は非常に不安ですよね。

私個人の結論から言うと働けなくなった時の保険(就業不能保険)の相談に来られた方の多くの方が別のやり方で対応されています。もちろん加入される方もいるのでここではその判断基準となる傷病手当金のことをお話ししたいと思います。

この記事はこんな方におすすめ

・傷病手当金とはなんぞや
・働けなくなった時の保険に加入していなくて不安
・働けなくなった時の保険の考え方が分からない

傷病手当金がどんな制度かだけ知りたい方は「傷病手当をざっくり」だけ読めば理解できるはずです。

ご自身で計算までしたいのなら「傷病手当金をさらに詳しく」まで読んでみてください。

ではいってみましょう〜

傷病手当金をざっくり

病気や怪我などで仕事を休んだ場合に生活を支える目的として健康保険から支給されるものです。

ポイントは3つ。誰が受け取れるか。いくら受け取れるか。いつまで受け取れるか。です。

ポイントは3つ

・Q 誰が受け取れるか → A 会社で健康保険料を天引きされてる方〜 
・Q いくら受け取れるか → A 給料の3分の2〜
・Q いつまで受け取れるか → A 18ヶ月(1年と半年)〜

国民健康保険に傷病手当金はない

誰が受け取れるのか。

会社員の方が加入する「健康保険(全国健康保険協会)」には傷病手当金はありますが、自営業の方の「国民健康保険」は傷病手当金はありません。

なので自営業の方は会社員の方よりも働けなくなるリスクは気に留めておく必要があると言えます。

逆に会社員の方は傷病手当金を理解した上で就業不能保険を検討することになりますね。

あとパート・アルバイトの方でも社会保険料を支払っている場合は対象となります。配偶者の扶養範囲内で働いている方は対象外ですね。

金額は給料のおよそ3分の2

いくら受け取れるのか。

すご〜く簡単に言うと3分の2です。月給30万円なら20万円です。

実際には休職中も健康保険料、厚生年金保険料、40歳以上の方なら介護保険料、あとは住民税なんかが差し引かれるので手元に残るのはその残りです。

さらにざっくりいくと30万円なら差し引かれる社会保険料などは8万円くらい見ておけばいいでしょうか。となれば「20万円(支払われる傷病手当金)ー8万円(もろもろの社会保険料など)」で手元に残るのは月額12万円くらいですかね。あくまで大体の目安です。

さらに細かく金額を探りたければ後述の標準報酬月額でお話ししています。

期間は最長で1年と半年

いつまで受け取れるのか。

最長で18ヶ月。一年と半年です。

これは復帰すれば当然受け取れなくなりますが、支給開始後18ヶ月を超えた場合には仕事に就くことができない場合でも支給されなくなります。つまり一度受け取り始めると18ヶ月のお尻は決まっているということですね。

以上のポイント3つをふまえて就業不能保険の考え方

一般的な捉え方と個人的な捉え方に分けて考えてみましょう。

まず一般的に一年半もの間働けない状態が続くでしょうか。

厚生労働省や生命保険文化センターの入院日数を見ると2017年の調査では平均入院日数は29.3日となっています。

また傷病によっても違いますが、一番長いもので「統合失調症関連」が531.8日、他も認知症関連が長く続いていて気分(感情)障害が113.9日となっています。

みなさんからよくガンになったら長い入院をして会社に行けなくなるのでは?との質問がありますがガンは通院が長く入院はかなり短縮化されてきているのが現状です。

つまり一年半あれば精神疾患以外の多くの病気は傷病手当金でカバーできていると考えても差し支えありません。

一般論で行けば会社員の方で就業不能保険を必要とされる方は少数になるかと思います。

あとは個人的な捉え方。

現在の給与の3分の2を受け取って生活が成り立つかどうか。貯金を切り崩して成り立つかどうか。その保険に加入しなかったことで後悔はないか。そこが個々の判断になると思います。

傷病手当金をさらに詳しく

傷病手当金の計算方法

(一番最初に支給された日以前の継続した12ヶ月のそれぞれの「標準報酬月額」を平均した額)÷30日×2/3

なんでこんなに分かりづらい日本語になるんでしょう。いや〜。日本語ってムズいです〜

標準報酬月額

まず標準報酬月額とはなんぞや。ですよね。

所属している健康保険を検索してもらうと必ず保険料の計算方法が出ている箇所があります。

主に大企業の会社員さんなら各会社の健保組合が運営している組合健保、中小企業の会社員さんなら独立行政法人となる協会けんぽ、公務員・教員さんなら各共済組合に加入しているはずです。

ネットで検索してみてください。

もし可能であれば給与明細をお手元に用意していただいて健康保険料をいくら払っているかみてください。

例えば協会けんぽで東京の方であれば14,760円が給与から健康保険料として天引きされているのであれば標準報酬月額は30万円ということです。

標準報酬月額を決めるタイミング

毎月7月1日現在でその年の4月5月6月の報酬をもとに9月から翌年8月までのものが適用されます。

ただし昇給や育児休業など報酬が大きく変わった時には決め直されることとなります。

傷病手当金が受けもらえないケースとは

さらに詳しく受け取る期間、有給休暇との関係、うつ病でも貰えるのかに焦点を当ててお話しします。

受け取る期間

休んだらすぐに受給できるわけではなく、4日以上休んだ場合であることが条件です。で、自己申告でもらえるのではなくちゃんとお医者さんから仕事に就くことができない状態であることを証明してもらわないといけません。

その受け取り始めた日から18ヶ月後まで、休んだ日数に対して受け取ることができます。

18ヶ月経過する前に復調し出勤して、また休職状態になった場合でも延長はされず最初の受け取り始めた日から18ヶ月が限度となるのでご注意を。

有給休暇との関係

有給休暇で休んでいる場合は傷病手当金の対象外です。無給であることが原則なので、ちゃんと休みましょう。

これは会社によると思うんですけど、私は仕事復帰した時に自分のタイミングで休みやすいように有給は使わずに休みました。

うつ病でももらえるのか

これはよくある質問なんですが、当然、お医者さんから就業できない証明がもらえればうつ病の方でも傷病手当金を受け取ることができます。

ただ、聞いた話なのですが、うつ病になると外出がかなり困難になります。傷病手当金を受け取るためには請求する手続きが必要となります。その都度、担当医の方に診断書を書いてもらうことになるのですが、通院期間がかなり空いてしまいお薬ももらっていなかったりすると保険組合から調査が来ます。そこで適切な治療をしていいないことが確認されると不支給となってしまう可能性があるのでご注意くださいね。

就業不能保険は必要なのか

保険に加入する時にはその目的を明らかにする必要があります。

就業不能保険に加入する目的は何か。何をカバーしたいのか。

多くの方は生活費と答えてくださいます。

では、その生活費はいくらなのか。ご夫婦の老後の積み立て、お子様の教育資金の積み立てなどもカバーしたいのか。

把握されているのなら足りない不足分を保険で補うことになります。

もし把握ができていないのであれば私が一番お勧めするのはお近くの保険の乗合代理店に行ってみることです。

もしそういったお店に行くのが不安なのであれば「絶対に保険に加入しない」と強い決意を持って行くことです。もしかしたら最初に担当となった営業の方に「加入しません」と宣言してもいいかもしれません。

判断するポイント

・就業不能になったときにいくら健康保険で受け取れるか把握する
・毎月の出費を把握する
・その差額が我慢できるのであれば保険は不要

大切なのはご自身の価値観をしっかりと持つことですね。