ネットで保険加入が当たり前の時代になってきました。
ひと昔前だと職場や家に来る保険の営業の人の話を聞いて加入するのがスタンダードでした。
私個人の意見を言えばネットだけで判断して保険に加入するのは危険だと感じています。ネットで加入するにしても一度は保険営業の人の話を聞いてみるのがいいと思っています。
じゃあ、その営業の人の言っていることは本当なのか。
すんごく大切なポイントですよね。
・営業の人が言うことをどう判断すればいいか分かる
・営業の人は何を考えて私たちと話しているのか分かる
・営業の人とうまく付き合い自分の判断ができる
モーツァルトを聴かせた子は頭が良くなる?
そもそもエビデンスってなんなんでしょ?
営業の人が本当のことを言っているか。つまりその根拠があるか。
感情の話になっちゃうと分かりませんが、あるテーマや物事に対して論理立てて結論を出すのであれば根拠があるはずです。エビデンスっちゅ〜言われ方してますね。
でも根拠やエビデンスがない俗説は昔からた〜っくさんあります。
そもそも根拠とはなんなんでしょうね。「エビデンスはどこ!」としたり顔で言っている人のその「エビデンス」とはなんでしょうか。
例えば。胎児にモーツァルトが良いって聞いた事ありません?
胎児期にモーツァルトを聴かせるといいというのは出産経験ある方なら聞いたことがあるかもしれません。
でもでも、本来これは大学生にモーツァルトを聴かせた結果で知力テストの点数が上がったという研究であり胎児にはなんの関係もありません。それどころか大学生へのテスト結果そのものも6年後の論文では否定されています。
もちろん、胎児は早い時期から聴覚が発達していて周りの音が聞こえているとか、モーツァルトの音楽は1/fと言われる「ゆらぎ」があるとか。何もかもがダメ!とか白黒って訳ではないんですけど。
詳しく言うと1993年、米ウィスコンシン大がモーツァルトの音楽を学生に聞かせた後、抽象的な思考能力が上がったという論文を発表したんです。で、その後「モーツァルト効果」が日本でも一時、大流行し胎児に向けてクラシック音楽を聴かせる人が続出しました。 しかし、米ハーバード大の研究グループが再度実験した結果、その説は否定されていると言うこと。
少しばっか古いデータですけど「ミキハウス子育て総研」の2016年のネット調査によると、胎教に期待する人は今でも多いのです。おなかでモゴモゴ動いている子のために、何かしてあげたいという気持ちは親として当然ですよね。
その中でも音楽を聴かせたと言う人は半数以上になります。何を聴かせたかという質問に対しては、クラシックが61.8%で最も多く、J-POPが50.9%、ディズニーの曲が44.3%という結果(複数回答)でした。
参考サイト:ミキハウス子育て総研 ハッピー・ノートドットコム「Weekly ゴーゴーリサーチ(第738回分析結果)」2021年6月23日
https://www.happy-note.com/research/10738.html
中野信子さんは著書「メタル脳」の中でモーツァルトよりメタリカを聴け!って言ってますねw
もしかしたら胎教にいい影響はあるかもしれませんが、証明されていないのが今の現状です。
科学的ってなんだろう?
エビデンスって科学的響きがありません?
何年前くらいからですかね。根拠や証拠のことをエビデンスって言われ出したの。
元々は医療や科学の世界で使われていたのがいつの間にかビジネスシーンでも使われるようになったようです。
その時の場面や状況で言葉の意味合いが多少違う(あ、これはTPOって言うんか)にせよ科学的に正しいかと言う意味でエビデンスが使われていると思います。
「有名な教授がテレビで言っていた」「専門家の人の話だから」って科学的なんですかね。
「科学的」じゃないとするなら、その逆側にあるのは「科学的ではないもの」になりますね。
サイエンスライターの竹内薫さんは「科学的とは「フェリーのついている科学雑誌に科学論文がでているかどうかが基準」と著書「思考のレッスン」の中で言われています。
よく保険相談であるのが癌についてです。
保険営業の人がよく言う「最近は2人に1人が癌になりますからね」と言う言葉。CMでも流れてますね〜。
これは本当です。
国立がんセンターのHPには男性が63%、女性が48%(2020年時点)と記載があるのでまあ一つのエビデンスですね。
でも、20代〜50代でがん保険を検討されている方はその内訳をちゃんと見ないといけないですね。
確率だけで言うなら男性は60歳以降にぐ〜んと伸びているんですよね。女性は徐々に伸びている。
2人に1人が罹患するのは正しいです。でも、子育て時期が大変だから、現役時代だけ保証が必要と考えているなら2人に1人ではないことになります。
つまりあなたが若いタイミングで癌になったら大変だなぁと考えているのなら…そもそも癌になる確率はかなり低いことなります。
もちろん保険はその人の価値観や将来像に寄り添って加入するものなので、確率だけで考えるわけではありません。
でも、保険選択の基準としてそのリスクとなる確率抜きではありえない話です。
極論で言えば確率0%のリスクの保険に加入することになる。海外旅行に行かないのに海外旅行保険に入るようなものです。
がんは0%ではないのですが、その毎月払うコストに見合っているか、癌になったときに加入しようとしてる保険以外の助けは得られないのか。
その少ない確率でもがん保険が必要だと考えるなら加入を検討する入り口に初めて立つことになります。
選択する難しさ 常識を疑う難しさ
私の友人が鬱になりました。ここでは仮にA子にしておきましょうか。
私は鬱が寛解した後だったので少しでもA子の励みになればと思いランチしました。
A子は少しずつですが投薬治療の甲斐もあり回復傾向にありました。でも、そのさなか、ある人からの心ない言葉に傷ついていました。
「宗教なんかやっているから鬱になる」
A子は見た目はイケイケなんですが中身はナイーブな子。けど色々な困難を乗り越えてきたその人生の根底に信仰があったのならそれは人として尊重するべきものだと思うのですが…
いやいや。なんなの。ムキーって怒りが込み上げてきましたが、そもそもその人の言う宗教をすると鬱になるというエビデンスはどこにあるのでしょうか。
コロンビア大学シーナ・アイエンガーさんの著書「選択の科学」では原理主義的な宗教に属する人ほどうつ病の割合は少ないと結論づけられています。
その友人が属している宗教団体が原理主義的かどうかはおいておいて(←「おいておいて」変な日本語w)、他にエビデンスがあるかもしれないと言うのもおいておいて(←ちょっと気に入ったw)、少なくとも「選択の科学」と言う本を読んでいれば、そういう言葉は発しないはずです。
まあ、ってか、そもそも思っていても鬱っている友人にそんな言葉を投げかけるな!って感じですが。その人にも何か過去にあったのかもしれません。
閑話休題。
保険に加入するとき、営業の人は多くの情報を提供してくれます。
保険に加入するとき、多くの人は何かを調べます。
そのエビデンスは正しいのでしょうか。そもそも調べ方は正しいのでしょうか。
またエビデンスが正しいとしてもそれはあなたの保険選択にどれだけの価値があるエビデンスなのでしょうか。
営業の世界で見てきたこと
営業は魑魅魍魎の世界。そんな風に思っている方がいるなら完全なる誤解です。
ビジネス書で営業に関する書籍は山のようにありますが、一冊でも読んでいただくとその認識は変わります。
お客さまのためになっているか。それを実践できているか。営業トップレベルの人はそんな人格者の方が多いなと言うのが実感です。
悪い営業の人
でも実際には色んな営業の人がいます。
あえて「悪い営業」と定義するなら…
いい営業の人は「人の為に営業する信念がある」「ちゃんと話を聞いてくれる」「知識が豊富である」の3点でしょうか。
なので、この逆をしてくる営業の人は縁を切った方がいいですね。
営業の基本は「お客さまの問題を解決すること」です。
一番ややこしいのが、話を聴いてくれて知識も豊富でいい人そうだけど実は売り上げを最優先させている営業の人。
いるんです。何回も相談されました。
あそこの◯◯に行って加入したんだけど、後々考えたらどうなんだろうと思う。
お客さまの問題解決より営業が売りたい商品を売るために誘導していたら最悪ですね。
お客さまとお話しする現場で日々悩むこと
私も聖人君子ではないです。
なので、営業をしていた時には当然、目先の売り上げが気になります。店長になったり、管理する立場になればなおさらでした。
ただ幸い、私が勤めた会社と上司がそのスタンスだったので揺らぐ心はあっても、お客さまを思う一点で仕事ができました。
その信頼が現在の仕事に繋がっているのは間違いないと思っています。
説明不足だったり、誤って伝わったり、理解を間違えていたり、私もFPとしてお客さまにお話しする際には「どの言葉が一番分かりやすく、真実に近いか」を日々考えながら接しています。
まあ、お客さまも気がつかれる方が多いですよね。売り気になったら大体次はないですね。
選択しているのか 選択させられているのか
ただ、お客さまの中には「保険のプロ」に任せれば一番いい保険に加入できると思っている幻想が大きく影響してしまっている方もいらっしゃいます。
そして、逆に「オレの選択は正しい」と思っている方。それも幻想ですよね。
そういった幻想を見ている方が悪い営業の人と出会ってしまうとコロリと騙されてしまうのです。
保険はいざいうときに効力を発揮する商品です。
いざとなった時に間違っていたと気がついても遅いのです。
その為にも「いい営業の人」と出会うことが何よりも大切な選択なのかもしれませんね。
人間の意思決定は、じっくり考えることよりも、分かりやすいものに即時に反応しやすい特徴があります。
これは「ファスト&スロー」などをはじめとした昨今の脳科学や経済行動学など、本屋にいけば手に余るほど山積みされている話です。
結論:大切なのは「時間をおく」ことと「別の視点を持つ」こと
時間をおく
焦ってした判断でロクなものはありません。
生命保険は年齢が上がると支払う保険料も上がるという特徴があります。
例えば来店型ショップや訪問型の保険相談だと1回ではなく数回会うことがほとんどです。
慌てて判断すると後からもう一回入り直しのような状況になってしまい損してしまうこともあります。
時間をおくと冷静になれます。
その営業の人が誠実で信頼に足る言動であったか。
提案された保険商品は本当に今加入しなければいけない保険なのか。
代わりになるものはないか。あとでもいいのではないか。
別の視点を持つ
「別の視点を持つ」には2つの意味があります。
1つは加入しようとしている保険を別のもので対応できないか考えることです。
医療保険やがん保険に加入する前にそもそもの国の保険制度を理解する必要があります。
貯金や他の資産で代替できないかも考えてみてください。
さらには家族や親戚などの助けが借りられないかなども考えてみてもいいかもしれません。
保険営業の人は巧みです。
本当はいらない保険なのにいつの間にか選択肢が目の前に出てきて選択してしまう。選択すると認知的不協和で加入しないといけないような気になってしまうこともあります。
そもそもその保険に加入する必要はあるのでしょうか。
もう一つはセカンドオピニオンです。
別の営業さんとコンタクトを取り提案された設計書を持っていってみてください。
私も営業時代は何件もそういう相談を受けました。
ここでは保険に入らないのに申し訳ない…なんて思わなくていいですよ。
素晴らしい営業の人はそういう成績にならない相談こそ大切に対応してくれます。
コロナ禍の今、どう生きるのか、より価値的な人生をお互いにおくることができるために私も今日を大切にしたいと思いました。